墓じまいにかかる費用を分かりやすく説明

近年、「墓じまい」というキーワードが注目されるようになってきました。
背景として、少子高齢化が挙げられます。50年後には20歳~54歳の人口が大幅に減少し、高齢化率が10%程度上昇すると言われています。
(財務省:https://www.mof.go.jp/zaisei/reference/index.html
その結果として、お墓の継承者がいなくなったり、お墓参りができなくなるなどが発生し墓じまいをするという方が増えてきているためです。
今回は、墓じまいをするうえで重要なポイントとなってくる、費用にスポットをあてて紹介していきます。

おおまかな墓じまいの流れとしては、「骨の移転先を探す」→「お墓を撤去してくれる業者を探す」→「改葬手続きをする」→「お寺や霊園への支払い」→「遺骨の移送」→「お墓の撤去」となります。
まずは基本的な流れをざっくりでも良いので知っておくようにしましょう。

どの工程でどの程度の費用がかかってくるのかを把握しておくことが大切ですので、1つずつ見ていきましょう。
※依頼する業者によって、墓じまいにかかる料金は前後します。

骨の移転先を探す際にかかる費用とは?

 

・別の墓地に移動させるケース

今のお墓から別のお墓へ移動させるという方法です。
お墓参りに際して距離が遠すぎたり、体力的な問題を抱えている場合、お住いの地域の近隣の墓地へお墓を移動させることによって問題を解消できる場合があります。
墓じまいをするうえで最も簡単な方法となっていますが、新たな墓地の購入に際して費用がかかり、受入証明書や埋葬証明書を用意する必要があるので、それなりの準備は必要です。
今のお墓の撤去費用は、墓石の撤去代が1㎡あたり8~15万円、閉眼供養が3~5万円程度となっているので、11~20万円程度はかかると想定しておくと良いでしょう。

・納骨堂を利用するケース

室内でご遺骨を安置できる方法です。
三十三回忌などのタイミングで永大供養墓に移されるケースが多く、ロッカー式、仏壇式など安置される方法も様々です。
費用は一般的にロッカー式で20~50万円、仏壇式で50~100万円程度が相場となっています。利用する納骨堂の設備の新しさや広さ、交通機関の便利さなどによって大きく金額が異なってくるので注意が必要です。

・永代供養を利用するケース

今のお墓の墓じまいをして、ご遺骨を寺院や霊園へ永代供養してもらう方法です。
33年や50年という期限付きとなる場合がほとんどですが、墓石代がかからないので費用を抑えることができます。
ただし、ほかの方のご遺骨と埋葬することになるので、ご遺骨は2度と取り出すことができなくなるので、その点は注意が必要となります。
1体あたりの費用が10~30万円程度が相場となりますが、安いところで5万円程度で永代供養できるというところもあります。

・樹木葬を利用するケース

行政の許可を取っている霊園や墓地で樹木のもとに埋葬する方法です。
費用が安いという特徴がありますが、場所が地方であることが多い点に加え、1度埋葬をするとご遺骨は2度と取り出すことができないので注意が必要です。
人工的な骨壺や納骨堂ではなく、ご遺骨を自然に帰しゆっくりと眠って欲しいという方におすすめの方法となります。
市街地の霊園型で30~50万円、自然の里山を利用した里山型で50~100万円程度が相場と言われています。

・散骨をおこなうケース

ご遺骨を粉末状にして海や山へ撒くという埋葬方法です。
改装の許可が不要なので、ご自身でおこなうことも可能ですが、業者に散骨を依頼するのが一般的。今後お墓を持たずに埋葬できますが、散骨するとご遺骨は一切手元に残らないのでこの点は注意が必要です。
ご自身でおこなう場合は費用はかかりませんが、海へ散骨する場合には船をチャーターする必要が出てくるので10~30万円程度かかるケースがあります。

・自宅管理をおこなうケース

ご遺骨を自宅に保管しておく方法です。
骨壺におさめたりオブジェなどに入れたりする方法が一般的ですが、最近はペンダントやリングにおさめるという方もいらっしゃいます。
いつでも故人を偲ぶことができるので、心のよりどころを求める方には最善の方法となります。
費用は、骨壺やオブジェやペンダントによってそれぞれ異なりますが、数千円~10万円程度を想定しておくと良いでしょう。

お墓を撤去してくれる業者を探す際にかかる費用とは?

 

・墓じまい業者を利用するケース

墓じまいは様々な工程があり、一人でおこなおうとしても困難な部分が多いのです。
すべての工程をスムーズにするには墓じまいの業者を利用することが最善です。
おおまかな流れとして、ご遺骨の移転先の決定や必要書類の用意、改葬許可申請の手続き、閉眼供養、お墓の解体撤去という一連の流れがあります。
お墓の解体撤去1つを見ても、寺院や行政から敷地を借りている状態であるため、最終的に更地にする作業、その際に必要な手続きを含めて、墓じまい業者を利用することによってスムーズに進めることができます。
費用は1㎡あたりで計算されることが多く、5~7万/㎡程度が相場。ただし、墓じまい業者によって異なってくる部分なので利用する業者に事前に確認しておく必要があります。

・石材店を利用するケース

墓じまいに際して必要な作業を請け負ってくれる業者へ依頼をしない場合には、石材店へ依頼するという方法もあります。
墓じまい業者と同じように、ご遺骨の移転先の決定や必要書類の用意、改葬許可申請の手続き、閉眼供養、お墓の解体撤去という必要作業をすべてお任せできます。
お墓を建てる時からお世話になっている石材店だから、大切なお墓だからお墓のスペシャリストにお願いをしたいという方が主に利用しています。
費用は石材店によってそれぞれ異なりますが、一般的な相場としては5~10万円/㎡程度となっているケースが多いです。

改葬手続きをする際にかかる費用とは?

 

・行政書士に依頼をするケース

墓じまいに際して行政、各市町村、墓地管理者への各手続きが必要となってきますので、行政書士へ依頼して手続きを済ませることが必要になってきます。
主に必要となってくる書類「改葬許可申請書」、「埋葬証明」、「改葬許可証」は各市町村、今のお墓、新しい墓地から書類をもらい提出するといういくつかの工程があります。
全ての手続きを自らをおこなうには1から勉強して情報収集することは大変です。そのため行政書士の代行サービスを利用して手続きを済ませることが一般的になっています。
行政手続き代行、現地調査なども必要となってくるので、書類の手間料のほかに現地までの交通費や宿泊費なども含め、10~15万円程度が相場となっています。

お寺や霊園への支払いをする際にかかる費用とは?

 

・お墓の管理費の残金の支払い

お墓を維持するためには、墓地を管理するお寺や霊園へ管理費を支払う必要があります。
土地の利用料、墓石代、工事費用などお墓を建てる時に発生した費用が残っている場合は、墓じまいの際に支払わなければいけない残りのお金を清算します。
契約によってどの項目の費用の清算が必要か異なってきますが、土地の利用料や管理費は年間で支払っているケースが多く、墓じまいの際に残りの期間を計算し、清算が必要となってくると考えておく必要があります。
費用はお寺や霊園によって異なるため概算を出すことはできないのですが、ほとんどのケースでは費用は発生しているので、事前にお寺や霊園への確認を取っておくことが必要になってきます。

・離檀料・魂抜料の支払い

離檀料は、お世話になったお寺へお渡しするお布施のことを指しますが、支払いに法律的な根拠がないため金額はそのケースによって異なります。
今までお世話になったという気持ちをお礼にしてお渡しするものとなるので、明確な金額がでないことも離檀料の特徴となります。
また、今のお墓に宿っている魂を抜いて墓じまいをおこなうために、住職へ依頼した際に支払う必要があるのが魂抜料です。
費用の相場としては、離檀料が10~20万円程度、魂抜料については1~5万円程度となってくるケースが多いです。

遺骨の移送をする際にかかる費用とは?

 

・墓じまい業者を利用する

改葬や散骨に際して、ご遺骨を移送する必要が出てきます。
移送する場合は公共交通機関、飛行機、宅配便を利用するケースがほとんど。
近場である場合はバスやタクシーを利用、距離の遠い場所へ運ぶ必要がある場合は飛行機や、郵便局のゆうパックを利用してご遺骨を運ぶことができます。
飛行機での輸送をする場合は、各航空会社のルールに従う必要があるため事前確認が必要となります。
ご自身で移送をすることは可能ではありますが、実際のところは墓じまい業者を利用して送骨をすることがほとんどです。大切なご遺骨を安全に運ぶためにもできれば墓じまいのプロへ依頼することが理想的です。
費用は業者により異なってきますが、一般的に1キロあたり、10キロあたりで数千円~数万円と料金設定されているケースが多いです。

 

お墓の撤去

墓じまいで必ずかかってくる費用としては、墓石の撤去費用です。
墓石は軽いものでも500kg程度の重量がありますので、少なくとも2トントラックやレッカー、数名のスタッフが関わって作業をしていく形となります。
墓石に使用されている石材は非常に硬く、石の集積場に廃棄するだけでも2~7万円と高額です。総費用は依頼をする業者によって変動しますが、一般的に1㎡あたり8~15万円程度かかると言われています。ただし、あくまでも目安の料金ですので実際に見積もりしてもらったらそれ以上かかってくるケースもあるため注意が必要です。
【撤去費用が高額になるお墓の例】
①墓石や土台が大きい
②墓地が斜面にあるなど作業しづらい環境
③カロート(地下にある遺骨入れ)が深く、コンクリ基礎で作られている ※これは外見では分かりづらい

まとめ

まずは、ご遺骨の移転先を探して、墓じまいの最終段階となるお墓の撤去まで各段階において細かく費用がかかってくることを知る必要があります。
そのうえで、かかる費用が一般的にかけ離れていないかどうか、高額すぎる費用を請求されていないかという判断をすることになりますので、墓じまいにかかる目安の料金をあらかじめ知っておくことは非常に大切なことです。