お墓を移動するための閉眼供養での服装


近年、少子高齢化や核家族化によって、お墓を守る人がお墓の近くに住んでいない、お墓を守る人がいないなどの問題が増えています。
そのため近くのお墓に移動したり、お墓を閉じたりと、閉眼供養を考える人が増えています。
なかなか経験することのない閉眼供養での服装は、どのようなものがふさわしいのでしょうか。
ここでは、閉眼供養の際に着る服装について詳しくご紹介していきます。
 
 

■閉眼供養の意味と流れ

閉眼供養の意味

閉眼供養は、地域や宗派によって呼び方が異なることがありますが、お性根抜き・魂抜き・抜魂式とも言われ、魂の宿っている墓石から魂を抜き、一時的に石に戻すという儀式です。
お墓の移動・新しく立て直すという「改葬」や、今あるお墓を処分して散骨・自然葬・永代供養のお墓に入れるなどの「墓じまい」のどちらを行うとしても、現在お墓を閉じる閉眼供養が必要です。
また、魂は一番上に置かれた「竿石(さおいし)」と呼ばれる墓石に宿るとされており、竿石に戒名を追加で彫刻する・竿石を動かすなどの際も閉眼供養を行います。
 

閉眼供養の流れ

閉眼供養をすることについて、家族間・親族間で話し合うことは何より一番大切なことです。
先祖代々のお墓の場合は、特に多くの親族がお参りをします。後々のトラブルを避けるためにも、親族の了解を得てから進めましょう。
話し合いが済んだら、寺院に相談します。また、石材店にもお墓の解体・撤去を依頼する場合の見積もりを出してもらいましょう。
その後、市区町村の役所に「改葬届」を提出し、「改葬許可証」を発行してもらえば、お墓から遺骨を取り出すことができるようになります。
 
閉眼供養儀式は、通常のお墓参りとほぼ同じです。
お墓を掃除し、お坊さんにお経をあげてもらいます。お坊さんを呼ばない場合はお参りのみです。
この儀式が終わってから、石屋さんの解体・撤去作業が始まります。
骨壺を出してもらい、遺骨を確認します。骨壺をきれいにしてから石屋さんが風呂敷に包んで次の納骨先に持っていけるようにしてくれます。
その後お墓の撤去し、墓石のあった場所を整地してもらって完了となります。
 
 

■閉眼供養の服装


閉眼供養は、お坊さんを呼んでお経をあげていただく法要と、お坊さんを呼ばずに身内・親戚一同などが立ち合い行う場合の、2つに大きく分けられます。
 

閉眼供養法要の場合の服装

閉眼供養は、お坊さんに来てもらい、お墓にいる先祖の霊を供養して抜き取ってもらうため、お経をあげてもらう法要です。
法要になりますので、「弔事」としての喪服、またはスーツでの正装がふさわしいでしょう。
お墓が山奥などにある場合や、墓地でも坂道や階段などが多いことがあるため、和服ではなく洋式の喪服がおすすめです。念のため、立ち会う人には服装の連絡をしておくといいでしょう。
 

お坊さんを呼ばない場合の服装

お坊さんを呼ばずに、家族やごく身近な親族のみで執り行う場合は、格式ばった要素がないため基本的に平服でかまいません。
しかし、派手な服装やラフすぎる服装、露出の高い服装などは控えましょう。
広く親戚や知人を呼んで執り行う場合には、喪服を選ぶと安心です。多くの人を呼んで行う場合は、服装がバラバラにならないよう、親戚間で事前に服装の相談をして、お知らせなどを送る際には明記しておくといいでしょう。
 
 

■閉眼供養の時の持ち物は?

閉眼供養に立ち会う場合、どのようなものを持っていくといいのでしょう。依頼主の場合と、立ち会う場合とで若干持ち物が変わります。
 

依頼主の場合

閉眼供養では、お坊さんや石屋さんに来てもらって供養をしてもらい、遺骨の取り出し作業や墓石の解体・撤去をお願いします。
とは言っても特別な道具などは石屋さんが準備をしてくれますので必要ありません。
最後のお墓参りになりますので、お墓を最後に綺麗にするための掃除道具(ホウキ・バケツ・雑巾・スポンジ・ブラシなど)と、通常のお墓参りに持っていく持ち物(供花・お供え物・線香・ろうそく・マッチやライター)を忘れず用意しましょう。
ゴミなどが出た場合の袋なども持っていくと安心です。
 

親戚・知人として立ち会う場合

親戚・知人として招かれて参列する場合、お通夜や告別式、法要と同じと考えます。
特に変わった持ち物は必要ありません。仏教の行事・法要なので、数珠を持っていきましょう。数珠には宗派によってさまざまな種類がありますが、自分の宗派の数珠で構いません。
 
 

■元気なうちに今後について考えることも大切


お墓の移動や墓じまいは、現代の社会では切っても切れない問題です。お墓を守る子供が減っていることは紛れもない事実で、多くの人が直面します。
今後参列する機会も増えるかもしれませんので、服装や持ち物など、しっかりと覚えておくといいでしょう。
 
今は終活を行っている人も増えています。終活を考える上で、お墓の今後について考えることはとても大切です。
今すぐではなくても、将来お墓が長期間放置されることのないよう、お墓の行く末について考えてみてはいかがでしょうか。