ちょっと変わったお盆の風習~岩手編

先祖の霊を祀る行事は全国各地で行われていますが、その風習は地域によっても異なります。
今回は岩手県に伝わる、ちょっと変わったお盆の風習をご紹介します。
 

◯迎え火・送り火

先祖の霊をお迎えするのを「迎え火」、送り出すのを「送り火」と言います。
 

岩手県北部の迎え火・四十八燈

「新盆」から3年の間、四十八燈という行事が各家庭で行われます。
文字通り48本のロウソクを灯してご先祖様を迎えるのですが、横に並べるのではなく、3段~4段のロウソクを立てる台に並べます。
お盆の間は身内や親族、そしてご近所の方が集まり、ロウソクに火を灯し、拝みにきます。ロウソクが全て消えると、この四十八燈が終わります。
これには諸説あるようですが、阿弥陀仏が法蔵菩薩であった時に、仏に成るための修行に先立って立てた願いが48だったことに由来しているそうです。

 

盛岡の迎え火・樺火

白樺の皮を焚いてご先祖様をお迎えします。そのため「樺火」と呼ぶ事もあります。この迎え火は、玄関やトイレの前などで焚くことが多いです。
昔は道路の中央で一斉に迎え火として束薪で焚かれていましたが、時代の変化で道路上ではできなくなり、家々で焚くようになりました。
 
 

◯さんさ踊り

さんさ踊りは市民に古くから親しまれてきた盆踊りです。
起源には様々な説がありますが、最も伝えられているのが三ツ石神社伝説です。この地域で昔、鬼の退散を喜んで三ツ石(三つに割れた巨岩)の周りを「さんさ、さんさ」と踊ったのがさんさ祭りの始まりだと言われています。
さんさ祭りは時代や土地の風土により変化し、様々な踊りが見られるようになっています。
 
 

◯舟っこ流し

藩政時代から伝わる送り盆の行事です。16日に行われ、今ではご先祖様の霊を送り、無病息災を祈る行事となっています。
この舟っこ流しは、江戸時代に南部氏三代当主で南部藩第四代藩主「南部行信」の娘が「川施餓鬼法要」を行った事が起源とされています。
舟に遺影などを貼り、提灯や紙花で飾りつけをし故人を供養します。そして、この舟は送り盆の日の夕方から夜にかけて明治橋上流に集められ、儀式の後に川で火をつけて流します。
燃え尽きた舟は下流で回収されています。
 
 

◯おわりに

今回は岩手県で伝統的に行われるちょっと変わったお盆の風習をご紹介しました。
自分が生まれた地域や住んでいる地域のお盆の過ごし方も調べてみると、他と違う風習があることを発見することができるかもしれません。
小さい頃から住んでいる地域だと由来や意味を知らないことも多いと思いますが、きちんと知れば、地域をもっと好きになるきっかけにもなるかもしれません。
来年の夏は由来や意味を理解した上で、いつもと違ったお盆を過ごしてみてはいかがでしょうか。