墓じまいの手続きと流れ


少子化や核家族化、高齢化などによって、お墓の後継者がいないなど、墓じまいを考える人が増えています。最近よく耳にするこの墓じまいという言葉ですが、実際のところ、どのようなことをするのでしょうか。
これから身近になる可能性の高い墓じまいについて、手続きや流れなどを詳しくご紹介していきます。
 
 

  1. ■墓じまいとは一体何?
  2. ■墓じまいの流れと手続き
    1. 〇墓じまいの流れ
      1. お墓の中身を知る
      2. 遺骨の行き先を決める
      3. 親戚・親族の同意を得る
      4. お寺の住職や墓地の管理者に伝える
      5. 改葬許可申請をする
      6. 石材店の見積もりを取り、お墓を撤去する業者を決める
      7. 閉眼供養をしてもらう
      8. 遺骨の手入れを業者に頼む
    2. 〇墓じまいに必要な手続き
        1. 墓じまいが決まったら、お寺の住職や墓地の管理者に「埋葬証明書」または「収蔵証明書」を発行してもらいます。 併せて「改葬承諾書」も発行してもらいます。
        2. さらに、遺骨を新しいお墓や永代供養に納める場合、改葬先の管理者から「受入証明書」もしくは「永代使用許可書」「墓地使用許可証」「墓地使用承諾書」を発行してもらいます。 改葬の許可を申請する人と、墓地を使用する人が異なる場合、「埋葬承諾書」も必要です。
        3. 遺骨の人数分の「改葬許可申請書」を現在のお墓の管理者に発行してもらいます。
        4. お墓に埋葬されている故人が記載されている戸籍全部事項証明書・除籍全部事項証明書・戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を用意します。
        5. 上記全ての書類を揃えて、現在のお墓のある市区町村の役場に「改葬許可申請」をします。
  3. ■墓じまいと改葬・永代供養の違いとは
    1. 〇墓じまい
    2. 〇改葬
    3. 〇永代供養
  4. ■墓じまいへの考え方

■墓じまいとは一体何?

墓じまいとは、お墓を撤去して更地にし、敷地を返還することを言います。
墓じまいの後には、お墓から取り出された遺骨をどうするかなどの問題もあります。
ライフスタイルや家族構成、墓守の高齢化などによって、お墓を長期間放置せざるを得なくなることや、無縁墓のようになることを回避するという意味でも、墓じまいを考える人が増えてきています。
 
 

■墓じまいの流れと手続き

〇墓じまいの流れ

お墓の中身を知る

墓じまいを考えた時、最初にするべきなのは、お墓の中身を知ることです。
誰の遺骨があるのか、経過年数や数量、大きさ、遺骨の状態(破損・汚れ・火葬済みの有無など)を確認しましょう。
 

遺骨の行き先を決める

お墓から出した遺骨をどうするのかを決める必要があります。
永代供養や散骨、手元供養などの方法があります。
 

親戚・親族の同意を得る

墓じまいのトラブルとして最も多いのが、親戚の反対にあうことです。
特に先祖代々のお墓の場合は、多くの人の想いが関わることで、心情的にも抵抗のある人は多いので、わだかまりが残らないようよく話し合うことが大切です。
 

お寺の住職や墓地の管理者に伝える

親族の同意を得ることに並行して、お墓があるお寺のご住職や、霊園の管理者に、墓じまいをする旨伝えます。
親族の了承を得たら、改めて連絡をし、「埋葬証明書(納骨証明書)」を発行してもらいます。
 

改葬許可申請をする

散骨・手元供養をせず、永代供養や新しいお墓に入れる場合、役場で改葬許可の手続きをします。
さらに、受け入れ先に「受入証明書(永代供養許可証)」を発行してもらいます。
 

石材店の見積もりを取り、お墓を撤去する業者を決める

墓地が提携している石材店の他、いくつかの業者の見積もりを取るといいでしょう。
墓石を撤去し、更地に戻すまでを全て行ってくれます。
 

閉眼供養をしてもらう

性根抜き・魂抜きとも言います。お墓の撤去作業の前に、お寺の住職に閉眼供養をしてもらいます。
 

遺骨の手入れを業者に頼む

墓石撤去後に、遺骨を取り出して手入れしてもらいます。湿気によって溶けていたり、カビが生えていたりするため、骨壺の水抜きや遺骨を洗い、乾燥させる作業をしてもらいます。
手元供養などの場合は粉骨もお願いできます。
 
 

〇墓じまいに必要な手続き

墓じまいが決まったら、お寺の住職や墓地の管理者に「埋葬証明書」または「収蔵証明書」を発行してもらいます。 併せて「改葬承諾書」も発行してもらいます。
さらに、遺骨を新しいお墓や永代供養に納める場合、改葬先の管理者から「受入証明書」もしくは「永代使用許可書」「墓地使用許可証」「墓地使用承諾書」を発行してもらいます。 改葬の許可を申請する人と、墓地を使用する人が異なる場合、「埋葬承諾書」も必要です。
遺骨の人数分の「改葬許可申請書」を現在のお墓の管理者に発行してもらいます。
お墓に埋葬されている故人が記載されている戸籍全部事項証明書・除籍全部事項証明書・戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を用意します。
上記全ての書類を揃えて、現在のお墓のある市区町村の役場に「改葬許可申請」をします。

 
散骨・手元供養の場合でも必要と言われる場合がありますので、この手続きは一通り知っておくといいでしょう。
 
 

■墓じまいと改葬・永代供養の違いとは


墓じまいも改葬も永代供養も、どれも似たような意味に取られがちですが、実際には下記のような違いがあります。
 

〇墓じまい

供養を終え、墓地を更地にして管理者に返すこと。今あるお墓を処分して閉じること。
 

〇改葬

今あるお墓をそのまま別の墓地に移したり、新しいお墓に遺骨を写すこと。お墓の引っ越しと考えるとわかりやすいです。
 

〇永代供養

お墓の有無は関係なく、遺骨の供養をお寺などに任せることを言います。墓じまいした後の遺骨の行き先が永代供養になるというのも1つの選択肢です。
 
 

■墓じまいへの考え方

墓を撤去するということは、家族や親族にとしてあまり良いイメージを持たれない方も多いかもしれません。
しかし無縁墓になったお墓は、雑草が生え放題になり、墓石に苔が生えたりヒビが入るなど、近隣のお墓にも迷惑をかけてしまいます。
墓じまいには費用も時間もかかりますが、ご先祖様や故人を放置しないという考えのもと、きちんとした理由から選ばれているのです。
ご先祖様に失礼だから・・・などと言っているものの、長期間お参りに行かず無縁墓のようにしてしまうよりも、誠実な対応だと言えるでしょう。
現在、日本に存在するお墓の約40%が無縁墓となっています。このままでは10年後は60%にまで増えると予想されており、無縁墓の増加を防ぐためにも墓じまいという選択肢は重要になります。
先祖への感謝の気持ちがあるからこそ、自分ではなかなかお墓参りや供養ができないと判断したら、お墓を放置せず、早めに「墓じまい」を親族に相談してみるといいでしょう。