墓じまい後の葬儀方法
「わたしたちの墓じまい」を運営する株式会社フーフー代表の高木敏郎氏は、「墓じまいの増加、埋葬の選択肢の多様化、葬儀の簡素化などが目立つ昨今、わが国の『供養』は歴史的なターニングポイントを迎えつつある」と語る。わが国の供養に今、何がが起こっているのか? その詳細を聞いた。
◇12・26シニアライフよろず相談室
葬式や法要のときだけ必要とされる形骸化した日本の仏教を「葬式仏教」と揶揄(やゆ)することがあります。「葬式仏教」は江戸時代の「檀家(だんか)制度」とリンクしています。檀家制度のもとでは、人々はいずれかの寺院の檀家となり、ぼだい寺に葬儀・法要の一切を任せたことから、日本人の供養はお寺主導となったのです。
ただ、葬儀や法要のときにだけ触れる仏教は本当に必要なのか? そこに供養の本質はあるのか? そんな疑問の高まりとともに、お寺主導だった供養が家庭主導の供養へと転換されていくという潮流がはっきりと見え始めています。
最近よく聞く「家族葬」は、お通夜の翌日に告別式を行うという点は、伝統的な葬儀と変わらないものの、参列者は近親者のみ。会社関係者などには声を掛けません。2017年現在、葬儀の約60%が家族葬という調査結果も出ています(エンディングデータバンクより)。家族葬でも読経へのニーズはまだ高いものがありますが、「墓じまいを行い、離檀したぼだい寺のお坊さんに読経をお願いできない」というような場合は、葬儀社などにお坊さんを手配してもらいます。
家族葬よりもっとコンパクトなのが「一日葬」。お通夜をせずに告別式から火葬場へ、という流れです。さらに簡略化したのが「直葬」。こちらは告別式も行わずに、火葬場へ直行します。一日葬や直葬の場合は、読経はなくお焼香や合掌が行われる程度であることが多いですが、読経を望む場合はお坊さんの手配を依頼することが可能です。
これまでは葬儀社が葬儀を手配し、葬儀の後はぼだい寺へバトンタッチ、戒名をつけてもらい、初七日、四十九日法要から一周忌、三回忌…と半ば自動的に進められた供養。そのあり方に疑問を持つ人は多いものの、いざ自由にして良いとなると戸惑う人が多いのも事実です。
ここで、何より大事なのが、「何をすれば故人の供養になるのか?」ということ。すなわち、故人に思いをはせる機会をどう確保するかということです。
直葬を選んだけれど、後日「お別れ会」を開いて故人をしのぶ、というケースが増えています。アルバムやメモリアルムービーを制作するケースも。残された人たちは、故人との思い出に浸り、改めて家族の絆や生きることの意味を再確認することでしょう。これこそが、供養の本質と言えるのではないでしょうか?
お寺主導の供養から家庭主導の供養へ。まさにその過渡期にある現在、お悩みも多いと思います。そんなときは「わたしたちの墓じまい」にお気軽にご相談ください。きっとお力になれるのではないかと思います。
(えとき)
大手生命保険会社主催のセミナーで講師を務める高木敏郎氏