墓じまいの手続きと具体的な流れをやさしく解説!

最近、墓じまいという言葉をよく聞くようになりました。お墓からご遺骨を取り出したあと墓石をばらして更地に戻すこと、そして、取り出したご遺骨を次のお墓や納骨堂などに収めて改葬することを、墓じまいといいます。

近年、「お墓が遠くにあってなかなか行けない」「体力がなくなりお墓参りができなくなった」「近い将来、お墓を守る家族や親戚がいなくなる」など、さまざまな理由で墓じまいを選ぶ人が増えているのだそうです。

ある調査では、1年間で約12万件もの墓じまいがおこなわれていることがわかっています。時代の変化もあるのか、供養の方法も多様化しているのですね。

ただ、いざ墓じまいをしようと思っても、最初はなにをすればいいのかわからないという人がほとんどではないでしょうか。ここでは、墓じまいに必要な手続きや流れをわかりやすく説明します。具体的な流れを知っていると、墓じまいが順調に進むでしょう。

家族や親戚間の話し合い

墓じまいは、家族や親戚間の話し合いから始めましょう。一度墓じまいをするともとに戻すことができません。そのため、家族はもちろん、墓じまいをするお墓に関係のある親戚一同の同意が必要です。

家族や親戚のなかには、故人への思いの強さから、ご遺骨を取り出してお墓を解体してしまうことを、「ご先祖さまとの縁がなくなる」「手を合わせる場所が完全になくなる」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

墓じまいを順調に進めるためにも、墓じまいをしたいと考えた理由、墓じまいのあとに別の方法で改葬することなどをきちんと伝え、了承を得るようにしましょう。

こういったことは、あとで「知らなかった」「思っていたのと違った」などといったトラブルが起こらないようにしたいものです。話し合いの前に、次の項目で説明する改葬先についても目安をつけておくとスムーズでしょう。

改葬先とその方法を決める

墓じまい後の改葬先としては、一般墓をあらたに用意する、永代供養、納骨堂、手元供養、散骨、樹木葬などがあります。

お墓の管理や費用、それにまつわる負担の大きさが墓じまいのおもな理由となっていることから、永代供養や納骨堂、自宅でご遺骨を守る手元供養を選ばれることも多いようです。ご先祖様に手を合わせる場所を、管理や維持の負担を少なくした状態で残せるからでしょう。

もちろん、一般墓を近隣に用意する、散骨、樹木葬を選ばれる方もいます。いずれにしても、手続きや費用なども含めて、家族・親戚間でじっくり話し合うことが大切ですね。

■改葬の方法が決まったら改葬先を探し、その管理者に「受入証明書」を発行してもらっておきましょう。これは、ご遺骨の移転の際にかならず必要となる書類です。

お寺や霊園に墓じまいの意志を伝える

家族や親戚の了承が得られたら、お墓があるお寺や霊園に墓じまいを希望していることを伝えます。民間や公営の霊園であれば、事務的な連絡をすれば大丈夫です。

ここで気を配りたいのが、長年お世話になっている菩提寺への伝え方です。お寺の住職に、墓じまいを考えていると相談として持ちかけてみるのがいいでしょう。お墓の管理がむずかしかったり、引き継いで守れる者がいなかったりという事情を話して理解を得るようにします。

ご遺骨を別の寺や霊園に移す場合、「離檀」にあたる可能性もあります。檀家関係の解消となれば、お寺側にも少なからず影響があるもの。そのことも考慮し、なるべく早めに機会をつくり、こちらの意向を伝えるようにするのがいいでしょう。

お寺側の理解が得られなかったばかりに、埋葬証明書を発行してもらえなかったり、高額な離檀料を請求されたりという例もあるようです。これまでお世話になった感謝も忘れずに、円滑に伝えられるといいですね。

■お墓があるお寺や霊園に墓じまいの了承をもらえたら、お墓の管理者に「埋蔵証明書」を発行してもらいましょう。これは、ご遺骨の移転の際にかならず必要となる書類です。

同時期に、可能であれば「改葬許可申請書」も用意しておくとスムーズです。

※「改葬許可申請書」は、お墓がある場所の自治体役場でもらえます。自治体の公式ホームページからダウンロードできる場合もありますので、問い合わせてみてください。

お墓の解体業者を探す

お寺や霊園に墓じまいの了承を得たあとは、お墓の解体にかかります。とはいえ、自分たちではできないことですので、石材店などの専門業者にお願いしましょう。

最初に、お寺や霊園が懇意にする指定業者が決まっているか、お墓を管理する担当者に相談してみましょう。指定業者はなくても紹介を受けられる場合もあります。

業者がみつかったら、見積もりをとるようにします。自分で業者をさがす場合は、複数の業者から見積もりをとるのもいいですね。

業者を決めたら、あとはお墓の解体と撤去の日程を調整すれば大丈夫です。お墓の解体までに、役所での書類の申請なども必要になりますので、この日程は余裕を持って決めておきたいですね。

役場で改葬の手続きをする

お墓の解体と撤去の日程が決まったら、お墓の所在地にある自治体役場に出向き改葬手続きをします。じつは墓じまいには、役所の許可が必要です。書類を提出し、証明書を発行してもらうのです。

あらかじめ用意しておいた、「改葬許可申請書」「埋葬証明書」「受入証明書」を提出します。その後、墓じまいで改葬するご遺骨1柱につき1枚の「改葬許可証」を交付してもらいましょう。

この「改葬許可証」をお墓の管理者に提示することで、ご遺骨の取り出しができるようになります。

閉眼供養をする

お墓からご遺骨を取り出す場合に大切なのが、閉眼法要(魂抜き)です。これは、墓石の仏様の魂を抜きただの石に変える儀式です。住職や僧侶にとりおこなってもらいましょう。

墓石をばらして更地に戻す

閉眼供養がおわったら、ご遺骨を取り出すことができます。その後の墓石の解体は、専門業者にまかせておけば大丈夫です。

遺骨を移転先のお墓に納骨する

移転先のお墓や永代供養、納骨堂などに「改葬許可証」を提出して、ご遺骨を移転先に納骨します。移転先の住職や僧侶に開眼供養をとりおこなってもらいます。

まとめ

墓じまいに必要な手続きや流れを説明しました。それぞれの項目は、お墓がある場所や改葬先などによっても進め方が変わってくるでしょう。同じ時期に進めてもかまわない手続きもあります。

墓じまいをすべておこなうのは、正直大変です。墓じまいに協力してくれる家族や親戚がいない、まわりに負担をかけずに墓じまいをおこないたい場合は、墓じまい業者に依頼するという方法もありますので、検討されてみてください。

どちらの場合でも、余裕を持ってスムーズに計画・実行できればいいですね。