お墓参りにもマナーがあることをご存知でしょうか。
お墓参りをする機会は誰にでもあるでしょうが、日常的にお墓参りをしているという人は少なくなっています。その中で、正しいマナーを知っている!と自信を持って言える人は多くないのではないでしょうか。
お墓参りを正しく行って、きちんとご先祖様を供養することはとても大切です。ここでは、お墓参りの正しいマナーや手順についてご紹介していきます。
■お墓参りのマナーとは
〇お墓参りに行く時期は
基本的にはいつ行っても構いません。人生の節目に、報告を兼ねてお参りをしたり、日常的にお墓参りに行く人もいますが、最近ではあまり地元を離れている人も多く、お参りになかなか行けない人が増えています。
春のお彼岸・お盆・秋のお彼岸・お正月の他に、故人の命日・祥月命日・年忌法要の時期にお参りをするのが一般的となっています。
お盆の場合、初日である13日の午前中~昼間のうちにご先祖様をお迎えに行き、16日の夕方に、ご先祖様をあの世にお送りするため、最低でも2回はお墓参りをします。
神道の場合
祥月命日や月命日の他に、式年祭にお墓参りをします。
亡くなった年から3・5・10・20・30・40・50・100年ごとに行われます。
キリスト教の場合
命日の他、カトリックは万聖節の翌日である11月2日、万霊節という使者の記念日ににミサが行われお墓参りをします。
プロテスタントの場合は、亡くなって1ヶ月後の昇天記念日(召天記念日)と、1・3・7年目の昇天記念日に記念式を行い、お墓参りをします。
〇お墓参りする時間帯
お墓参りは、朝や昼間に行くのが一般的です。早い時間は掃除がしやすく、夏の場合は暑くなりすぎないということが理由でしょう。
しかし、お盆の期間は夜にお墓参りをする地域もあるため、決まった時間帯はないと言えるでしょう。
〇お墓参りの服装
法要がある場合は喪服を着てお参りに行きますが、そうじゃない場合は普段着で構いません。
掃除などがしやすいという点では動きやすい服装が良いですが、ご先祖様に感謝を伝えたり、故人の弔意を伝えるという目的を考えると、あまり派手なものや華美なものはふさわしくないでしょう。
■お墓参りの正しい手順とマナー
〇お墓参りの手順
お墓参りの手順として正しいのは、下記の流れです。
墓地についたら、御本堂の前で一礼し、手を洗い清めます。
手桶に水を汲み、お墓に向かいます。
手桶や柄杓を借りられる墓地もありますが、借りられない場合は自分で用意して持っていきます。
お墓の前でまず合掌して、草むしりやお墓の周囲、墓石を掃除します。
ゴミは拾って掃き掃除をし、墓石は雑巾やブラシで磨きましょう。
花立に水を入れて花やお供え物を供えます。
供花は対になるように供えます。1つしかない場合は左側に備えましょう。
お供え物は持参した器か、半紙をしいて、その上に供えます。
線香に火をつけ、お供えします。
お線香は香炉に立てる・線香皿に横に寝かせるのどちらかで供えます。火は口で吹き消すと汚れてしまうとされているので、手で仰いで消します。
束のまま火を灯すことで、無縁仏を近寄らせないようにすると言われていますが、宗派によって異なります。
故人と縁の深い人から合掌して祈ります。
冥福を祈り、感謝の気持ちや報告したいことを心の中で語り掛けましょう。
全員の合掌が済んだら片づけをして終わりです。
お供え物・供花などとゴミは持ち帰りましょう。
■お墓に水をかける?かけない?
お墓参りの際、水をかけるという人と、かけてはいけないという人がいます。
実はどちらも間違いではないのです。
〇水をかける意味
水をかけるのにはいくつかの意味があります。
ご先祖様ののどの渇きを潤す
輪廻転生の六道の中の餓鬼道には水がないため、そこにいるかもしれないご先祖様の苦しみを少しでもやわらげてあげる意味があります。
また、餓鬼道にいなくても、亡くなった魂も喉が渇くという説があり、のどの渇きを潤すという意味もあります。
お墓の周りの餓鬼に施しを与える
水鉢にも水を入れる場合、お墓の周りにいる餓鬼への施しとなり、功徳と供養につながるとされています。
墓石を清める
お清めの水をお墓に書けるという意味があります。
掃除のため
お墓を掃除する、汚れを洗い流すという意味で水をかけます。
〇お墓に水をかけない意味
失礼に当たる
ご先祖様や故人に対して「冷や水を浴びせる」ことになり、侮辱する行為だという説があります。
墓石を傷める
酷暑などで熱くなった墓石に、冷たい水をかけると割れてしまう恐れがあるとされています。
しかし、墓石が本当に割れたという声はあまり聞きません。
お墓にお水をかけるかどうかは、その土地の歴史や地域の習慣、またその家の考え方やお寺の住職の考え方などによります。
これに関しては、信じるとおりに行うというのが一番スムーズなお参りの方法と言えるでしょう。
〇水以外の飲み物をかけることはよくない
故人が好きだったからと言って、お酒やジュースを墓石にかけるのは、含まれた糖分などでべたつきやシミの原因となります。
また、缶を供えてそのままにしてしまうと、サビがついてしまいますので、お供えした後は持ち帰るのがマナーです。
■お墓参りはまず気持ちが大事
正しいお墓参りの方法で行うことで、ご先祖様や故人に感謝や弔意が一層伝わることでしょう。
しかし、霊園のルールや宗派、地域の風習、またお寺のご住職の考えや、その家の考えなどによっても異なってくることがあります。
多少違っているからと言って目くじらをたてることなく、お互いを尊重しお墓参りをするという気持ちが、ご先祖様の供養となるのではないでしょうか。