墓じまいの際、先祖代々の遺骨をどうするか


先祖代々続いてきたお墓でも、地元を離れてしまってなかなか手入れできないなど、さまざまな理由で墓を守ることができなくなり、仕方なく墓じまいを選択する人が増えてきています。
そこで一番取り扱いに悩んでしまうのが、「先祖代々の遺骨」です。何代も続いているお墓であればあるほど、お墓に納骨されている遺骨の数は多くなり、墓じまいの際に遺骨をどうしてよいのかわからなくなってしまいます。
ここでは、墓じまいの後の遺骨の処分方法として一般的とされている方法を詳しくご紹介していきます。
 
 

■細かく粉骨する

遺骨は、そのまま捨てると法律に違反してしまいます。しかし、粉骨して撒くのは違法ではありません。どのような方法を選ぶにしても、まずは粉骨してコンパクトにすることが大切です。
 

〇自分で粉骨する

自分で粉骨すれば、お金をかけずに合法的に処分することができます。
方法としては、骨壺から中身を取り出し、厚手のビニール袋に遺骨を入れます。袋の上からタオルで巻き、かなづちなどで叩いて細かく砕きます。最後は、一片を2㎜以下にしなくてはならないので、すり鉢などを使って粉末状にします。
 

〇粉骨代行業者に頼む

上に簡単に自分で粉骨する方法を書きましたが、実際に行うと精神的ダメージがかなり大きい作業です。ですから、粉骨代行業者に12万円で粉骨を依頼する人が多いようです。
骨壺の保管状態が悪く遺骨がカビていたりしていても、業者できちんと洗浄などをして粉骨してくれるため、とても便利です。
 
 

■粉骨後の納骨方法


 

〇小さな骨壺に納めて納骨する

粉末にした遺骨はとてもコンパクトになるため、小さな骨壺にそれぞれ納めてもさほど場所を取りません。永代供養の納骨堂などに入るのであれば、その状態で納骨するのもいいでしょう。
また、今後のことを考えて、ご先祖様の遺骨はまとめて1つの骨壺に納めるという人もいます。コストもやや抑えることができますし、納骨する際のスペースもコンパクトにできます。
1つにして失礼では・・・と思われるかもしれませんが、無縁墓にしてしまうよりも「供養する心」が伝わりますので、気にする必要はありません。
 

〇散骨する

自然葬として散骨するという方法もあります。
粉末状にした遺骨の散骨に関しては、法律で現在規制されていないため、合法でも違法でもない、いわゆるグレーゾーンになっています。国も、公式ではありませんが、「節度を持った散骨は遺棄罪にはならないという」見解を示しています。
とはいえ、どこにでも散骨してよいのかというと、トラブルが起きないわけではないので注意が必要です。
まず、自治体で禁止している区域・風評被害の可能性のある観光地・他人の私有地などは避けましょう。場所によっては精神的苦痛や不快感、観光地の風評被害などで訴えられた場合に、負けてしまうことがあります。
安全な方法としては、樹木葬として霊園内の樹木の土に散骨する方法がおすすめです。
この他に海洋散骨は人気がありますが、沿岸・漁場・海水浴場を避けて、散骨可能な区域まで船やボートで連れて行ってもらわなくてはならないため、費用がかかります。
また気を付けたいのは、遺骨を「埋める」ことはしないということです。撒くのは違法になりませんが、埋めるのは埋葬する行為になるため、墓地以外ではできないとされています。
 

◯遺骨を加工して手元供養品にする

ご先祖様の遺骨を合同墓や散骨などで手放す場合、後から後悔しても元に戻すことができません。そのため、遺骨の一部を加工して手元に置いておく方法も、最近では人気です。
遺骨を加工して、セラミックプレートなどやダイヤモンド・人工ストーンにして身近に置くことができます。家に飾れるものや、アクセサリーやお数珠などのように身につけることができるものなど、形はさまざまです。
 

〇合同墓・合祀墓で供養してもらう

合同墓・合祀墓とは、お寺や霊園などで大きなお墓に血縁のない複数の人たちの遺骨を納骨して供養してもらうことを言います。
遺骨をそれぞれ納骨する形ではなく、骨壺から出して直接合同墓・合祀墓に納骨します。他の遺骨と混ざり合うため、あとで元に戻すことはできません。
 
 

■もしご先祖様が土葬だった場合は?


現在日本ではほとんどが火葬で埋葬されますが、地域によってかつては土葬で埋葬されていた地域も存在します。もし、墓じまいしようと思っているご先祖様のお墓が土葬である場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
土葬の場合、遺体が完全に土に還るまでに1530年程度かかるとされています。遺骨が残っている可能性がある場合は、業者に依頼して遺骨を拾い、洗浄・殺菌・乾燥をしてもらった上で粉骨をしてもらいます。
また年月が経っていて土に還っている場合は、遺骨が埋まっていたであろう部分の土を少し拾って、骨壺や骨袋に入れて納骨する、または他の遺骨を散骨する時に一緒に撒いてもいいでしょう。
何世代も上の、顔も知らないご先祖様だったとしても、「今自分が存在するのはご先祖様のおかげ」です。心から感謝しながら供養すれば、喜ばれるのではないでしょうか。