前回、韓国のお墓事情についてご紹介しました。
日本との違いも多く他の国のお墓事情にも興味を持ったのではないでしょうか。
今回は同じアジアで世界一人口が多い国、中国のお墓事情についてご紹介します。
日本や韓国とどのような違いがあるのでしょうか。
中国とは
まず、中国について簡単に説明します。
中国は中華人民共和国の通称で東アジアに位置します。
陸地面積では世界第2位、総面積では世界第3位といわれ、世界一人口が多い国です。
また世界遺産を数多く持つ国として、有名な遺産として万里の長城があげられます。
主な宗教は仏教、道教、イスラム今日、キリスト今日です。
中国の墓地
上記で記載したように、土地が広い国ですが墓地不足が深刻化しています。
土地不足の原因
古来中国においての葬法は天葬、水葬、火葬、土葬の4つの方法が用いられてきました。
これは複数の民族や文化が混在している中国独特の葬法になります。
その中でも漢民族(中国の人口9割)では一般的に土葬が主流でした。
しかし、山などが多く平地が少ないことや、人口の増加などにより墓地不足が問題となりました。
また、中国では1名または2名の個人や夫婦墓が風習でこれも墓地不足の要因となっています。
夫婦でも初婚の相手だけしか一緒にお墓に入ることができないそうです。(諸説あり)
火葬の推進
中国では死を『生』と同じように重要視し、祖先の墓を立派にすることが生きている者に
繁栄と幸福をもたらすと信じられてきたため、火葬はほとんと行われませんでした。
しかし、1956年毛沢東により殯葬改革が行われ土葬から火葬へ国策として推進し始めました。
この殯葬改革は森林資源の節約と農耕地の確保のために提唱されました。
森林資源と農耕地の確保
世界で面積の大きさが上位の中国ですが、
実際に農耕地として土地を利用できるのは国土の9.96%(1994年)とされています。
土地価格の高騰
墓地の価格も高騰していて、1部の地域ではA4サイズで150万円以上するところもあるようです。
そのため、土葬は一部の金持ちしか出来ず一般の方は火葬しお墓をたてるか、
お墓をたてるのにも費用はかかってしまうため、納骨堂で供養する人もいます。
しかし、納骨堂は中国の昔からの考えには合わず、評判はよくありません。
近年では、海洋葬、芝生葬、花葬、樹木葬、壁葬などの埋葬方法も検討されています。
中国のお墓
中国のお墓の形には特徴があります。
地域や霊園などの規模、タイプによっても違いがありますが、亀甲墓が多く見られます。
亀甲墓とは、カメの背中(甲羅)をイメージしたお墓の形で、
『鶴は千年、亀は万年』と、言われている事から長寿の意味合いがあるようです。
また、入口に魔除けのシーサーを置くもの特徴です。
この亀甲墓は沖縄でも見ることができ、
中国南部の唐墓から伝わったと考えられており、17世紀後半から沖縄で亀甲墓がつくられるようになりました。
現在では亀甲墓も小型化して、一般的な墓石の上部が亀甲型になっているものも増えています。
中国のお墓参り
お墓参りの流れ
中国のお墓参りは、日本と基本的には同じです。
1、花を購入して献花をする。
2、お線香をあげる。
3、先祖がタバコやお酒を好む人であれば、タバコやお酒をあげる。
4、紙で出来た偽者のお金や洋服、日用品や自宅、車などを燃やします。
5、深くお辞儀をして礼。場合によっては、一言二言言葉を伝えます。
6、場所によっては、額を地につけての拝礼。
7、爆竹を鳴らす。
時期
日本でお彼岸、お盆、命日、年末年始などにお墓参りに行く習慣があるように、
中国では年に一度、清明節(清明節)にお墓参りに行く習慣があります。
清明節は毎年4月5日前後では国民の休日で3連休になり、
子どもから大人まで家族みんなでお墓参りに行き、先祖供養をします。
清明節
清明節は農暦(旧暦)の24節気の1つで漢の時代からはじまったとされ、
春風が吹き、暖かくなると空気は新鮮で爽やかになり、
天地は明るく清らかになることから「清明」と呼ばれるそうです。
清明節は別名『掃墓節(お墓を清める日)』とも言い、
一族揃って亡くなった先祖のお墓に行き、お墓掃除をして清めます。
中元節
4月の清明節と同じく、中元節は先祖を祀る重要な日です。
中元節は旧暦7月15日に行われ、お墓参りをする期間の1つです。
この時期は、霊界の門が開いて霊魂が下界をさまようとされており、してはいけない事があります。
・水辺に遊びに行ってはいけない
・夜間の外出を控える
・夜間に選択をした衣類を干さない
・人がいるような気配がしても振り返ってはいけない
・壁に寄りかからないようにする
・街中でお金が落ちていても拾ってはいけない
など、迷信ではありますが信じている人が多いです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
調べてみると、意外と日本と似ている部分もあり、また韓国と同じように、土地問題が深刻化していることがわかりました。
ただ、思想や供養の仕方・形は違えど先祖を大事に想う気持ちには変わりはないようです。
日本にも無縁墓などお墓に関する問題がありますが、先祖を想う気持ちを忘れないようにしたいものです。