ちょっと変わったお盆の風習 ~長崎・沖縄編

お盆は先祖の霊を祀る行事として日本全国に広まっていますが、その風習は地域によって異なります。
今回は長崎県・沖縄県にまつわるちょっと変わったお盆の風習を紹介します。
 
 

長崎の精霊流し

長崎では毎年8月15日に精霊流しが行われます。
この行事は盆前に亡くなった人の遺族が、提灯や花などの飾りをつけた『精霊船』を造り、故人の霊を乗せて街中を練り歩き極楽浄土へ送り出すというものです。
精霊流しは、家紋入りの提灯や町の提灯を持った者を先頭に、長い竿の先に灯篭をつけた「印灯篭」を持った者、鉦(金属製の楽器)を持った者、その後に白い法被姿の者が精霊船を引きます。
そしてこの精霊流しにかかせないのが『爆竹』で、お盆の時期にはスーパーやコンビニで大量に販売されています。
魔除けの意味で使用されており、精霊船が通る道を清めるためのものです。精霊船が通るときは、隣の人の声も聞こえないほどのにぎやかさとなります。


 

精霊流しの由来

精霊流しの由来は諸説あるようですが、そのひとつに中国の「彩舟流し(さいしゅうながし)」があります。
彩舟流しは、江戸時代頃に貿易などのために日本へやってきた中国の唐通事が、来る途中や日本へ来てから亡くなった際に、その霊を送り出すために行われていました。
この彩舟流しが長崎で変化し、「精霊流し」になりました。

 

お墓参りで花火

精霊流し以外でも、お盆のお墓参りではお墓で花火をするのが定番です。
花火は手持ち花火などもありますが、ロケット花火や爆竹を鳴らし、お墓でもにぎやかな雰囲気になっています。


 
 

沖縄のお盆

沖縄では旧暦でお盆を行い、毎年旧暦7月13日~7月15日までがお盆の日となっています。
そのため新暦の暦では毎年違う日にちから始まりますが、沖縄ではお盆の3日間にそれぞれ呼び名があります。
・初日7月13日 ⇒ ウンケー
・中日7月14日 ⇒ ナカビ・ナカヌヒ
・終日7月15日 ⇒ ウークイ

ウンケー

ウンケーは夕方に行い、玄関の前でろうそくを灯し線香に火をつけご先祖様を招き入れます。その後線香を持ったまま家に入り、仏壇に線香を立てます。
お盆の間はご先祖様にも3食用意し、家族は同じものを食べます。

お供えものには特徴があり、下記の通りです。

・ウチカビ(わらを主な原料とした、全面に銭型が打ちつけられている物。あの世のお金)
・果物(大きな果物は左右対称に仏壇の2段目、小さな果物は左右対称に仏壇の3段目に配置)
・グーサンウージ(さとうきびの杖。先祖があの世に帰るときに転ばないように)
・ウンケージューシー(沖縄風の炊き込みご飯)
・ナマシグァー(酢の物)
食事をお供えするときは必ず線香を立て、片づける時にも同様に線香を立ててから下げます。
 

ナカビ・ナカヌヒ

沖縄では中日にお中元を渡します。
仏壇のある家は訪れる親戚に配り、仏壇がない家はお中元を渡しにまわります。訪問された側は、お線香をお願いし冷やソーメンやお菓子などを振る舞います。
お供えものは家庭ごとにことなりますが、ウンケーと同じように3食準備します。
 

ウークイ

朝・昼の食事は中日と同じようなものを用意しますが、夜は豪華に重箱料理のごちそうを準備します。
ご先祖様をお送りするため、夜遅くに仏壇の前に親族が集まります。線香を供え、半分ほどになったら参加者1人につき1枚分のウチカビをボウルなどの容器で人数分燃やしていきます。
火が消えぬうちに、お供えしているお酒とお茶をかけ、仏壇に飾っていたお花、燃えかけの線香、お供えしている料理を、 種類ごとに1切れずついれ「みやげもの」とします。
この「みやげもの」をもって門前に移動し、手を合わせてご先祖様を見送ります。
そして、ご先祖様を見送るための演舞である『エイサー』が地域のいたるところで行われます。
今では3日間行われるところやウークイの日のみ行われるとこと地域で様々ですが、明け方近くまでエイサーは続きます。

 
 

おわりに

今回は長崎県・沖縄県で伝統的に行われるちょっと変わったお盆の風習をご紹介しました。
自分が生まれた地域や住んでいる地域のお盆の過ごし方も調べてみると他と違う風習があることを発見することができるかもしれません。
小さい頃から住んでいる地域だと由来や意味を知らないことも多いと思いますが、きちんと由来や意味を知ることでその地域をもっと好きになるきっかけにもなるかもしれません。
来年の夏は由来や意味を理解した上で、いつもと違ったお盆を過ごしてみてはいかがでしょうか。