墓じまい後の遺骨の移転先・永代供養
先週に引き続き、「墓じまい」の最新事情について、「わたしたちの墓じまい」を運営する株式会社フーフー代表の高木敏郎氏に聞く。今回は主に「遺骨の移転先」について。
◇12/12シニアライフよろず相談室
墓じまいは、いわば「お墓のお引っ越し」。具体的には、以下のような手順を踏んで進められますが、まずは遺骨の移転先を確保することが重要になります。
①遺骨の移転先の確保し、「受入証明書」を発行してもらう。
②遺骨の移転元(現在のお墓があるお寺など)に事情説明の上、「埋葬証明書」を発行してもらう。
③現在のお墓がある市区町村に「改葬許可証」を発行してもらう(改葬許可申請時に「受入証明書」、「埋蔵証明書」を提出)。
④閉眼供養(魂抜き)・遺骨の取り出し。
⑤墓石の解体・撤去。
⑥移転先への納骨。
遺骨の移転先の選択肢と大まかなコストイメージ(遺骨1~2柱あたり)は?
「〇〇家之墓」と墓石に刻む伝統的なお墓は、代々の継承を前提としています。しかしながら、少子高齢化や核家族化の進展による「墓守不在となるリスク」の高まりや、最近の日本人の宗教観の多様化の中で、遺骨の移転先も実に多様化しています。
「永代供養墓(30万~200万円程度)」、「樹木葬(20万~50万円程度)」、「納骨堂(30万~200万円程度)」などは、お寺や霊園などの管理者が、遺骨の安置、供養まどの個別管理に加え、納骨から一定期間(13年など)経過後のお墓の撤去、合祀(ごうし=合同墓への埋葬)なども行ってくれるため、先々のお墓の継承者を心配する必要がありません。
また、永代供養墓などの個別管理のステップを経ることなく、いきなり寺院などで合祀する選択肢(10万~20万円程度)については、抵抗感を持つ人もいるものの、リーズナブルなコスト(10万~20万円程度)から選択する人も増えてきています。
また、そもそもお墓を持たないという選択肢も一定の市民権を得てきています。手元供養(遺骨をパウダー化し、密封された小型骨壺に入れて自宅保管する。2万~10万円程度)や海洋散骨(通常7万~40万円程度。散骨ポイントや散骨日等を選べない代わりに安価な散骨代行プランも)などがこれに該当します。
主な検討ポイントとしては、「費用(初期費用と年間管理料)」と「改葬後のお参りが必要か」の2つがあります。
費用重視であれば、海洋散骨(遺骨の半分を散骨して半分を手元供養するケースも)や合祀がおすすめですし、お参りを欠かしたくないという人には、交通の便が良く、雨の日も安心な納骨堂をおすすめします。
墓じまいの手順は複雑ですし、遺骨の移転先が多様化しています。まずは、信頼できる専門業者に問い合わせてみると良いと思います。弊社が運営する「わたしたちの墓じまい」もぜひお気軽にご利用ください。
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次回は「墓じまいに伴うトラブル」について。
(えとき)
霊園の一角にある合祀墓のモニュメント。合祀した後もお参りできる