「終活」とは、自分の人生をよりよく終わらすために準備をして、自分らしく生きていくための活動を指します。
終活という言葉は、平成21年に「週刊朝日」で連載された「現代終活事情」によって幅広く知られるようになりました。
言葉が知られた当初は、自分の葬儀をどうするか?お墓はどこにするのか?新しく建てるのか?のみを指していましたが、だんだんと具体的な準備なども含まれるようになりました。
ここでは、そんな「終活」で具体的に何をすればいいのかを詳しく解説していきます。
終活する3つのメリット
まずは、終活はどのようなことをすればいいのかを説明する前に、終活をするメリットを説明したいと思います。
終活と聞くと、自分が死ぬための準備をすると考えてしまい、暗いイメージを持つ方も多いかも知れません。
しかし、終活は決して悲しい作業ではないんです。
終活することで3つのメリットがあります。
①家族にかかる負担が減らせる
事前に遺品整理や自分の意思などをまとめておけば、遺産相続での揉め事を回避できたり、医療介護や葬儀、お墓などをあらかじめ準備しておけば、残された家族がスムーズに手続きなどを行うことが出来ます。
②自分自身の持ち物や気持ちの整理が出来る
不用品などを処分したり、身の回りの整理をすることで、残りの生活も暮らしやすくなります。
また、終活をきっかけにいろいろな出来事や人との出会いを思い出して、人生を振り返ることが出来ます。
③残りの人生を前向きにすることが可能に
終活することで人生を総括して、先の不安を解消し、残りの生活がより楽しく充実したものになり、新しいことにチャレンジするきっかけになるかも知れません。
自分の気持ちを目で見える形にすることで、これからの残りの人生をよりいいものにしようと考えるきっかけになります。
終活は何すればいい?
誰でも年を取ると体が不自由になったり、認知症になったり、亡くなる時が訪れます。
高齢になれば、なるほど自分で自分のことが出来なる可能性は高くなり、誰かの助けが必要になる場合があります。
そんなときお世話をしてくれる人の手を出来るだけ煩わせないようにしたり、自分の希望を叶えてもらうように、事前に準備をしておくことを終活と言います。
終活にしておけばいいことはいくつかあり、大きく分けると以下の3つになります。
・エンディングノートに大事なことをまとめていく
・身辺整理を行う
・遺言書を作成する
それぞれを詳しく解説していきます。
エンディングノートに大事なことをまとめていく
最近ではエンディングノートを作られる方がとても増えていて、終活の必須アイテムともなっています。
エンディングノートは、自分の死後に備えて、残される身近な人に伝えておきたい希望や情報を書き留めておくというノートです。
家族や友人に自分が伝えたいことを何でも書いてもいいですが、遺言書と違って法的効力はありません。
あくまでもあなたの死後に家族に様々な手続きを進めやすくするように、参考にしてもらうためのものという気持ちでまとめていくようにしましょう。
それでは、そのエンディングノートには、どのようなことを書けばいいのでしょうか?
自分の詳しいプロフィールをまとめる
自分の詳しいプロフィールを書いておきましょう。
・自分の名前
・名前の由来
・生年月日
・出生地
・本籍地
・血液型・
・干支
・住所
・健康保険書や年金手帳、保険証券、パスポートなどの重要書類の保管場所
・好きな音楽
・好きな食べ物
・学歴、免許
・家紋などのプロフィールについて書いていきます。
家族や友人関係をまとめる
家族について一覧表を作成したり、家系図を作成しておけばわかりやすくていいですね。
友人関係は一覧で作成しておきます。
一覧には、友人の住所や電話番号も記載しておき、自分に万が一のことが起きた場合に、連絡して欲しい人も分かりやすく記載しておきましょう。
病気や要介護の対応をまとめる
病歴、既住歴、アレルギー、延命治療や介護に関する希望などをまとめておきます。
特に自分で病院や介護の手配が出来なくなった時に、エンディングノートに書いていると、家族が対応するのにとても役立ちますし、スムーズに手配出来るので助かります。
資産の有無などをまとめる
貯金・預金口座は、金融機関名、支店名、普通口座か定期口座などの種類別、口座番号などを詳しく一覧にしておくと分かりやすいなります。
その他、資産の有無などもまとめておきましょう。
・クレジットカードの有無
・貸金庫の有無
・宝飾類の有無
・貴金属の有無
・骨とう品の有無
・株式有価証券の有無
・土地・建物などの不動産の有無
・借入金・貸付金の有無
・遺言書の有無
以上のものがあるようなら、エンディングノートに詳しくまとめておいた方が良いと思います。
残された家族が一番、時間や手間がかかるのが、遺産整理や遺産相続になります。
そこで自分の資産などを一覧にしておくと残された家族がすごく助かります。
また、自分にとっても現状把握ができることになるので、無駄な投資や費用に気付くこときっかけになるかも知れません。
葬儀やお墓の希望をまとめる
葬儀については、自分の希望を詳しくまとめておきましょう。
・実施の有無
・葬儀会社への会員登録や積立金の有無
・宗教宗派
・棺や骨壺に一緒に納めて欲しいもの
・一般葬や家族葬、無宗教葬などの希望
お墓については、もともと先祖代々のお墓なのか、購入済みのお墓の有無、散骨の希望などをまとめておきましょう。
伝えたいことをまとめる
家族や親族、友人などに、感謝の気持ちなど伝えたいことを書いておきます。
自分に万が一のことがあった時に、内容を伝えて欲しいかも付けくわえておきましょう。
身辺整理を行う
身辺整理を事前にしておけば、いざという時にとても家族の負担を軽くすることが出来ます。
また、不要なものを廃棄したり解約することで、余計な費用を削減することにもつながる場合があります。
貴重品整理
自分が大事なものは人によって価値観が変わってきますが、たとえば貴金属、高価な腕時計やカバン、骨とう品などの資産価値のあるものについて整理をしておきましょう。
自分の死後、形見として誰かに託したいものがあれば、エンディングノートに書いておくといいです。
しかし資産価値のあるものは、法的強制力のある遺言書に記載することが大事です。
不用品整理
葬儀の後、遺品の生理や処分は残された家族にとって、大きな負担になるひとつです。
必要な物、不要な物を分けて、不要な物は重い切って処分しておけば後で助かります。
リサイクルショップなどで売却できるものもあるかも知れませんね。
金融財産整理
預貯金や株式などの有価証券、ゴルフ会員権などの金融財産は、リスト化しておくことも終活のひとつです。
特に金融財産は、名義人の死後にいろいろな手続きをしなければならないので、手続きによ
っては用意する書類が膨大になる可能性もあり、残された家族にとって大きな負担になります。
預貯金は、銀行口座を複数持っている場合は、出来るだけ口座をまとめて解約できるものは口座を解約しておくといいでしょう。
思い出の品整理
写真やビデオ、DVDなどの思い出の物も整理しておきましょう。
たとえば家族に秘密にしておきたい写真などがあれば、今のうちに処分しておく必要があるでしょう。
逆に家族に残しておきたい写真はわかるように保存するか、エンディングノートに書いておく必要が出てきます。
また、棺に一緒に納めて欲しい写真があれば、これも分かるように区別しておきましょう。
コレクションの整理
美術品、工芸品、古地図、書籍、切手、硬貨や紙幣、玩具などのコレクションを集めている人もいらっしゃるかと思いますが、これらの整理も終活のひとつになります。
コレクションの中には、骨とう的や資料的価値があるものもありますし、一般市場価値が一切ないものもあります。
そのため、売却したり譲渡したり、処分するなど整理しておけば、相続トラブルなどにならなくて済みます。
パソコン内などのデジタル上の情報整理
パソコン内などのデジタル上の情報を整理しておくのも終活のひとつになります。
パソコンや携帯電話のログインIDやパスワードの設定してますか?
また、SNSやブログなどの登録やネットショッピングの会員登録、ネット銀行、ネット証券の登録してますか?
これらは普段は家族にさえ知られないようにIDやパスワードなどのログイン情報だと思いますが、葬儀の後にそれらがわからず困っている遺族が多くいらっしゃいます。
そこでいらない会員登録があれば解約しておき、必要なものはログイン情報などをエンディングノートにまとめておきましょう。
遺言書を作成する
終活のひとつに「遺言書を書く」ということがあります。
上記で説明したエンディングノートをまとめることも残された家族にとっては大切ですが、エンディングノートには法的な強制力がありません。
そのため、法的強制力がある遺言書を作成することが必要になってきます。
遺言書に書けるのは、主に遺産相続に関することや遺言執行者、祭祠継承者の指名などの身分などに関することに限られています。
遺言書とエンディングノートをそれぞれ上手く利用すれば、遺産相続の時に残された家族や親族が助かります。
終活を始めるタイミングとは?
終活は意外とやることがたくさんあります。
いつから始めるのが良いのでしょうか?
終活はいつから始めるといいのかという決まりはありません。
しかし、自分の仕事や子育て中だと、なかなか腰を据えて行うことは難しいかも知れません。
そのため、一般的には定年退職した後や、子供の就職や結婚などをして、自分の時間がとれるようになった時がベストタイミングと言えそうです。
葬儀やお墓などにどのくらいの費用がかかるかハッキリわかるので、老後の家計を把握しやすくなるメリットもあります。
まとめ
終活は、決してネガティブなものではありません。
また、絶対にこの形で行わなければならないという決まりがないので、自分の残りの暮らしや遺族のために何らかの形でやっておきましょう。
人間の人生は限られています。
最後まで自分らしく生きるためにも、終活を上手く活用してみてはいかがですか?