供花は宗派や宗教によって種類が違う?


お墓参りと言えば、持って行くものとしてお供えの花がすぐに浮かぶのではないでしょうか。そのお供えのお花は、宗派や宗教によって基本的な花の種類が変わってきます。
もしも家族や友人がキリスト教式のお墓を作った場合などに、戸惑わずに対応できるよう、ここで詳しくご紹介していきます。

■お花をお供えする意味とは

仏教では、六波羅蜜の1つである「忍辱」の修行としてお花を供えるという意味と、供養する人の心を清めて「智慧」を育てるという意味があります。
またその他に、極楽浄土をイメージして美しい花を供えて仏さまをお飾りするという意味や、切り花が枯れていく様子から、命の儚さや尊さを学ぶという意味などがあります。
神道では、榊を使うことが基本です。榊は木に神と書かれる榊は、神様とのつながりが深いことを表しており、空間の邪気を払い、清浄化するとされています。
キリスト教の場合、お彼岸やお盆などにお墓参りをするという習慣がありません。亡くなるということは、神様から与えたられた永遠の安息にいるので、供養の必要はないという考えからです。
そのためお墓参りは供養ではなく、故人に対する敬意を払う行為となります。お供えの花というよりも、安らぎを与えられるように献花としてお墓に供えられ、故人との告別や敬意を表すという意味になります。

■仏教の場合のお供えの花の種類とマナー

仏教では、花をお供えする場合は必ず対になるように、また奇数の本数で作った花束を準備します。
色は四十九日までは白のみを基本としていますが、それ以降は白・黄・紫の3色または、」さらに赤・ピンクを足した5色を供えるのが主流となっています。
よく選ばれる花の種類としては、小菊・スプレー菊・一輪菊などの菊が主ですが、その他にグラジオラス・カーネーション・りんどうが多く選ばれます。
仏花として出来上がって売られているものは300~800円ほどでありますし、お花屋さんに作ってもらう場合などは1000円くらいを目安にしておくといいでしょう。
 
お供えの花として、避けた方が良い花としては下記のようなお花です。

トゲのある花

殺生の印象を与えてしまい、縁起が良くないとされています。

毒のある花

仏事全般に好ましくないとされています。

香りの強い花

亡くなった人は匂いで物を楽しむとされているため、香りが強いと他のお供え物の香りを消してしまい、故人が楽しめなくなってしまいます。

花粉のある花

墓石などを汚してしまうためお供えの花としては避けた方が安心です。お供えする場合は花粉を取ってもらいましょう。

ツル性の植物

花立に入れにくく、お供えに不向きとされています。
また、お供えした花を持ち帰らなくてもいいお墓の場合、散りやすい花や傷みが早い花も避けた方がいいでしょう。

■神道の場合のお供えの花の種類とマナー

神道では、お花ではなく「榊」をお供えします。祭事を行う際、常緑樹で囲って斎場を作っていたとも言われており、常緑樹はお参りの上でもとても重要な役割を示していることが分かります。
近年では、故人が好きだった植物や、派手ではないお花を供えても問題はありませんが、原則として「榊」をお供えすることが基本です。
小ぶりなヒサカキでも、大き目なホンサカキどちらでも大丈夫です。
似た見た目の植物で「しきみ」と呼ばれるものもお墓参り用などで売られていますが、こちらは創価学会の場合や日蓮宗など仏教各宗でのお供え植物となります。
土葬が一般的だった時代に、野生の動物に遺体が荒らされないようにするため、匂いが強くて毒性のあるしきみを植えたと言われています。
お墓参りをする際、宗派がわからないという時にはしきみを選ぶのが無難です。

 ■キリスト教の場合のお供えの花の種類とマナー

献花として捧げることになりますが、白い花(白い小さな菊・白いカーネーション・白い百合・白いカラー・その他故人の好きだった白い花でも可)を基本的に供えます。
お焼香などはなく、献花のみを供えます。また、故人の供養のために手を合わせるのではなく、故人の代わりに、人生で受けた様々な恵みを神様に感謝する祈りを捧げます。
また、仏教とキリスト教のお墓の違いは、仏教は家族でお墓に入りますが、キリスト教は1人に1つのお墓という点です。
しかし日本では場所もあまりないことなどから、家族で埋葬されるお墓も増えてきています。

■生花を長持ちさせる方法

最近では造花を供えるという人も増えてきていて、上手に夏場などに利用するのが賢い方法です。しかし、心情的にどうしても生花が良いという人も少なくありません。
夏の場合は、1日持つかどうか?という生花を、できるだけ長持ちさせる方法をいくつかご紹介しておきます。

花立の水に10円玉を入れておく
酢を1~2敵入れる
レモンの果汁を数滴入れる
砂糖を入れておく
切り花延命剤を入れる
切り花の切り口に塩をすりこむ
漂白剤を数滴入れる

などの方法で、花立の水が腐りにくくなるため、花が長持ちすると言われています。
しかしこれらの方法で水の傷みを防いでも、花立は元々容量が少ないため花が水をすぐに吸い上げてしまいます。
夏の場合は、もって2~3日程度ですので、こまめに水を替えに行けないのであればお花を持ち帰るのがいいでしょう。