前回ご紹介した『墓じまいの流れ』の中で、新しい遺骨の行き先をいくつかあげました。
公営墓地(改葬合祀)や散骨、菩提寺(永代供養)、納骨堂、手元供養などがありましたが、今回はその中の手元供養についてご紹介したいと思います。
◯手元供養とは
取り出した遺骨を自宅で保管する方法で、自宅供養とも呼ばれます。
保管方法には、次の2つの方法があります。
遺骨・遺灰をすべて保管
墓地や寺院へ納骨した上で、一部を自宅で保管
どちらを選ぶかは供養に対する考え方で分かれることになると思います。
また遺骨を分けて保管することは、仏教では昔から「分骨」という形で一般的に行われているため、問題はありません。
◯法律的な問題
「墓地、埋葬等に関する法律」では、第4条「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」という条文があります。
この条文が示しているのは「霊園や納骨堂として定められている場所以外に、遺骨や遺灰を埋める行為」であるため、焼骨を自宅で保管するという行為は、この第4条に違反するものではありません。
例えば、他人の所有地や自宅の庭などに遺骨や遺灰を埋める行為は禁止、という条文です。
以上のように、遺骨を自宅で保管する「手元供養」は法律的な問題はありません。
◯手元供養の手続き
自宅で遺骨を置く(供養する)際には、手続きは必要ありません。
ただし、手元供養をしているお骨をやっぱりお墓に納めたいという場合、「分骨証明書」が必要となります。「分骨証明書」とは、お骨が誰なのかを証明する書類です。この証明書がないと、お墓に納めることができません。
分骨証明書は、分骨する場所で発行してもらうことができます。火葬場で分骨する場合は火葬場にて、お墓で分骨する場合は墓地の管理者より発行してもらいましょう。
◯メリット
自宅で保管することにより、常に故人を身近で感じることができます
身近で供養ができます
お墓や寺院に納骨している場合、その場所へ向かう必要があります。引越しや体調面で、出向くことが難しくなる可能性もありますが、手元供養にすることでそのような心配も必要なくなります。
費用の削減ができます
お墓を建てるには、約100万円以上の費用が必要となってきます。しかし手元供養には様々な方法があり、一切費用がかからない供養方法もあります。
以上のような利点があるため、近年手元供養を選ばれる方が増えてきています。
◯保管方法
ミニ骨壷
名前の通り小さな骨壷で、分骨したお骨を入れて供養することができます。
核家族が増え、家族全員バラバラに過ごしている家庭も多いと思います。このミニ骨壷は、バラバラに住んでいる家族にとって、それぞれが故人を身近に感じ供養するのに最適です。
最近はデザインが豊富で、お好みの骨壷を見つけることができます。
遺骨ペンダント
ペンダント内に、遺骨・遺灰などを納めることができるペンダントです。いつも身近に感じられ、お出かけも一緒に楽しむことができます。
また、身に付けることでいつも見守ってくれている、そんな気持ちの支えになります。
リング
遺骨のかけらや遺灰を納められます。ペンダントと同じように身に付けられるので、いつも身近に感じられ、お出かけも一緒に楽しむことができる上に、いつも見守ってくれている、という気持ちの支えになるでしょう。
ブレスレット
遺骨を納めることができるブレスレットです。ペンダントやリングと同じように、身近で支えてもらえるアイテムです。
ブローチ
遺骨や遺灰を納められるブローチです。いつでも身に付けられ、大切なお守りとなります。
ステージ
お部屋で手元供養を行うための飾り台(ステージ)です。ミニ骨壷とセットにすることで、大切な方を想う空間を作ることができます。
お仏壇よりも少ないスペースで、供養することが可能です。仏具を一緒に置いてもいいかもしれません。
オブジェ
石の置物や手のひらサイズの小さいお地蔵様等があります。オブジェとして、身近な場所に置いておくことが可能です。
お仏壇と同じように、手を合わせて供養されている方が多いそうです。
◯費用
上記にあげたように、保管方法は様々です。種類別におおよその費用をご紹介します。
骨壷やペンダント:20,000円~50,000円
リング:20,000円~40,000円
ブレスレット:30,000円~150,000円
ブローチ:20,000円~30,000円
ステージ:10,000円~70,000円
オブジェ:20,000円~70,000円
プレートやダイヤモンドのように加工して、保管するという方法もありますが、その場合、10万円程度となります。
ダイヤモンドのように加工する場合は、大きさによっても費用の変動がありますので、大きいものでは100万円を超えるものもあります。
◯おわりに
お墓離れが進んでいる今、供養の仕方もだんだんと形に縛られなくなってきました。
今回ご紹介した保管方法も一部ですので、ご自分と故人との関係や故人への想いを考え、その想いに適した供養方法を選ぶことをおすすめします。
また後々トラブルになることをさけるため、ご自分だけの考えでなくご家族や親族とも相談した上で、良い選択をしてください。