【毎日新聞連載記事②】「300万円でいいでしょう」墓じまいの”離檀料”なぜもめる?

住職が口にした言葉に、男性は思わず首をかしげた。

「本当は350万円かかりますが、300万円でいいでしょう」

菩提(ぼだい)寺に相談したのは、先祖代々の墓を撤去する「墓じまい」。突然の要求に戸惑った男性は、すぐに払うことはせず、違う選択をする――。

墓じまいで檀家(だんか)を離れる際、お寺に金銭を支払う場合があり、「離檀料(りだんりょう)」とも呼ばれる。どうしたらスムーズに事を運べるのだろうか。

<今回の主な内容>
・「遺骨1人当たり……」
・必死の引き留め
・多くは「コミュニケーションエラー」
・「しがみつくお寺」も
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次回は7月31日に公開予定です
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「遺骨1人当たり……」
男性は東京都内に住む50代の会社員。2024年1月、5人の先祖が眠る茨城県内にある墓を撤去することに決めた。茨城の実家に住んでいた80代の父が亡くなったためだった。

お寺に連絡すると、「遺骨1人あたり70万円の供養が必要です」と言われた。それに続いて飛び出したのが、冒頭のせりふだ。

男性は墓参りに年1回は行っていたが、あまり住職と話をした記憶はない。それなのに、いきなりお金の話が出てきたことに「戸惑いがあった」と振り返る。

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