少子高齢化や都市化が進み、近年、お墓の管理をすることが難しく、墓じまいを検討する方が増えてきています。
しかし、墓じまいを行なう上で、「しきたり」や「マナー」などを知らない方も少なくありません。
とくに、「お布施のしきたりはあるの?」「お布施の相場はどのくらい?」「お布施はいつ渡すの?」
と疑問に思う方も多いはずです。
そこで、今回は墓じまいのスペシャリスト「日本改葬協会の山本千里」監修のもと”【お布施のしきたり】墓じまいで知っておくべき8選“を徹底解説します。
墓じまいの「お布施」にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
✅墓じまいのお布施の相場を知りたい!
✅お布施の最低限のマナーを知って恥をかきたくない
✅お布施でトラブルならないために知っておくべき注意点は?
お布施とは?
墓じまいとは、先祖代々のお墓を整理し、他の場所や納骨堂に遺骨を移すことです。
日本の伝統と現代のライフスタイルの変化に伴い、近年、墓じまいは大変注目されています。
また、墓じまいを行う際には、寺院や霊園に対してお布施を渡すことが一般的です。
しかし、普段からお布施などをお渡ししていない方にとったら、お布施の意味を理解するのは難しいでしょう。
そこで、まず墓じまいのお布施について詳しく解説します。
墓じまいのお布施の意味とは?
お布施とは、仏教の教えに基づき、感謝の気持ちを示すために僧侶や寺院に対して渡される金銭のことです。
墓じまいの場合も同様に、先祖を供養するための儀式や手続きに対する感謝を表すためにお布施が必要です。
これは単なる費用ではなく、供養の一環としてお渡しすることとなります。
墓じまいのお布施は、先祖供養と寺院への感謝を示す大切なものです。
適切な金額を設定し丁寧に渡すことで、円滑に墓じまいを進めることができるでしょう。
お布施はどうなるの?
渡したお布施はどのように使われるのか知らない方も多いでしょう。
お布施は、寺院などの活動費や維持費にあてられます。
僧侶への報酬としてお渡しするのではなく、あくまでも感謝の気持ちとしてお渡しするので、お布施の金額にも決まりはありません。
お布施の由来は、「自分の物を無償で渡す」という仏教の行ないの1つです。
そのため、お布施は「納める」「包む」と表現されています。
お布施には地域差がある
お布施は、地域により違いがありますので、地域の墓じまいに詳しい専門業者に確認してみることをおすすめします。
日本各地で、風習や文化が異なります。
たとえば、都心では高額になったり、地方では比較的安いお布施だったり、宗派や寺院の規模などによっても変わります。
お寺に聞くことも出来ますが、お寺側から「〇〇円ください」というのはなかなか難しいです。
親族に確認をしつつ、一般論として専門業者に確認すると安心でしょう。
墓じまいお布施の相場
墓じまいのお布施の相場は3万円~10万円が目安といわれていますが、寺院や地域、僧侶との関係性などによって変わってきます。
そこで、お布施の相場やお布施以外にかかる費用、またお布施に関するよくある質問をまとめましたのでご紹介します。
お布施の相場は3万円~10万円
お布施の相場は、一般的に3万円~10万円と言われています。
しかし、僧侶や寺院との関係性や地域などにより変わってきます。
個人的に長くお付き合いのある寺院・僧侶 | 3万円~10万円 |
閉眼供養のために依頼した僧侶 | 3万円~5万円 |
都内などの大きな寺院や、一等地などでは高額になりやすいのですが、地方は比較的安い傾向にあります。
金額については、事前に家族や親戚に相談してください。
また、お墓のある地域の相場がわからない場合は、墓じまい専門業者に相談してみるとよいでしょう。
お布施以外に御車代や離檀料を納める
お布施以外にも、僧侶がお墓まで移動する場合は、「御車代」をお渡しします。
一般的には、5千円~1万円をお渡しすることが多いです。
また、あまり聞きなれないですが、墓じまいの供養後に会食を設け、僧侶が参加しない場合は、「御膳料」として同じく5千円~1万円お渡しします。
墓じまいの閉眼供養後に会食を開くことは、少なくなってきていますが、知識として知っておきましょう。
そのほか、檀家を離れる際にほとんどの寺院では「離檀料」を納めなければなりません。
離檀料の相場は10万円~20万円ほどですが、寺院側から離檀料を請求された場合は、お布施は支払う必要はありません。
墓じまいのお布施に関してよくある質問
墓じまいのお布施に関して、よくある質問を3つご紹介します。
はい。お布施は現金を封筒に入れてお支払いします。
クレジットカードなどは一般的ではなく、封筒に名前などを記載して手渡しで僧侶や寺院にてお渡ししましょう。
お布施は、基本的には閉眼供養の前後でお渡しします。
寺院によっては、事前に受け取るところもあるので、墓じまいの日程や手順を打合せする際に、確認しておきましょう。
離檀料には、閉眼供養の費用も含まれた金額になっています。
そのため、別途お布施を支払わなくてよいという考え方が一般的です。
とくに、高額な離檀料を請求されることがあるので、注意が必要です。
※離檀料について困ったら、「わたしたちの墓じまい」でわかりやすく説明しているので、
ぜひ下記動画をチェックしてください!
動画を見る
墓じまいお布施の袋の選び方
墓じまいでお布施を渡す際には、袋の選び方も重要です。
お布施は、供養やこれまでの感謝の気持ちをお金に替えているので、僧侶や寺院に対しての心遣いが大切です。
ここでは、お布施の袋を選ぶときの大切なポイントを3つご紹介します。
伝統的な「奉書紙」を使う
墓じまいのお布施を入れる袋として一般的に使用されるのは、「奉書紙」です。
奉書紙は日本の伝統的な高級和紙であり、格式を重んじる場面にふさわしいものです。奉書紙を使うことで、先祖や故人への敬意を示すことができます。
大切なことを伝える和紙とも言われています。
表面はつるっとしていて、裏面がザラザラしており、ダイソーなどの100円均一にも一般的に売られています。
「白封筒」を使う
「白封筒」でお渡しするという方法もあります。
白封筒には黒墨で「御布施」と書き、表に施主の名前を記入します。
この方法もシンプルながら、正式な場でも問題なく使えるスタイルです。
また、白封筒は郵便番号や住所記載欄がなく、無地の封筒を使用するようにしましょう。
ただし、ポチ袋はNGなので注意しましょう。
水引がついた袋
黄色や銀色の水引がついた袋を使用することもあります。
黄色は関西でよく使われる袋でもあるので、地域差があるため必ず事前に確認しましょう。
また、銀色の水引は金額が5万円~10万円に適しています。
袋の種類は豊富ですが、一般的には白封筒や奉書紙がおすすめです。
お布施の書き方
お布施は、上記でご紹介した封筒や袋に濃墨で表書き・裏書きをします。
お葬式などでは「薄墨」で記載しますが、墓じまいのお布施は濃墨を使用するので注意しましょう。
ここでは、書き方についてポイントをご紹介します。
表書きの書き方
袋の中央部分に、「御布施」または「お布施」と記載し、下部に「フルネーム」または「〇〇家」と名前を記載します。
墓じまいのお布施は、これまで供養してくださった寺院や僧侶への感謝の気持ちなので、薄墨ではなく、濃墨で記載するのがマナーです。
マジックペンや筆ペンで記載しても構いません。
裏書きの書き方
裏には、左下部分に「住所」と「金額」を記載します。
まず、住所を記載して左側に金額を記載すると綺麗に見えるでしょう。
また、金額は旧漢字で記載するのがマナーです。「円」は「圓」と記載します。
「也」は付けなくても問題ありません。
そのほか、数字は以下を参考にしましょう。
単位:蔓圓 | |
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆・質 |
八 | 捌 |
九 | 玖 |
十 | 拾 |
ハンコやゴム印でもよい
手書きで書くのが苦手だったり、字を書くことが難しい場合は、ハンコやゴム印でも問題ありません。
しかし、昔ながらの風習で、手書きを好む僧侶や寺院もあるので、出来れば手書きで記載することをおすすめします。
また、表書きがプリントされて販売されている袋もあるので、どうしても場合は、活用してみてください。
プリントに違和感を感じる親族もいるかもしれませんので、代筆してもらえるのであればお願いするのも1つの方法です。
知っておくべきお布施の包み方
お布施を入れる袋や書き方はわかったけれど、包み方がわからない!という方も多いでしょう。
そこで、お布施の正しい包み方やマナーをご紹介します。
知識として持っておくことで、いざお渡しするときに慌てずにスムーズに準備できます。
中包みの包み方
奉書紙で包むのは、お布施をお渡しする上でとても丁寧で一般的な渡し方です。
まずは、半紙などで現金を包み、中包みを作ります。
②お札の上下の半紙を折る
③お札の左側に合わせて半紙を折る
④お札が隠れるように左側を更に折る
⑤半紙の右側を巻き付けるように折る
ここまでできたら、中包みは完了です。
奉書紙で上包みする方法
半紙などで、中包みが完成したら、奉書紙で上包みを作ります。
奉書紙は、ツルツルした面が表で、ザラザラした面が裏です。
ザラザラした面を上に中包みを上に向けて置きます。(お札の表が上に向くようにします)
ここまできたら、「左→右→下→上」の順に畳みます。
お布施を包むときのマナー
お布施を包むときには、以下の基本的なマナーを守りましょう。
✅お札の肖像画が必ず上に来るようにする。
✅お札の向きを揃えて入れる
お布施は、寺院や僧侶への感謝の気持ちが込められているので、香典と同じようにしてしまうと、失礼にあたります。
お布施は忌事ですが、お布施は慶事と同じ対応となりますので、注意しましょう。
宗派ごとのお布施のしきたりはあるの?
同じ仏教であっても、宗派ごとに考え方やしきたりがあります。
墓じまいでのお布施は、宗派によって違いがあるのでしょうか。
ここでは、浄土真宗や浄土宗、真言宗の3つのお布施について詳しく解説します。
宗派ごとのしきたりを理解し、正しいお布施を準備しましょう。
浄土真宗は閉眼供養がない
そもそも浄土真宗には「墓じまい」という概念がありません。
浄土真宗には、「生を受けたものは、成仏できる」という考え方があるためです。
そのため、閉眼供養の代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」を行ないます。
閉眼供養と何ら変わりのない儀式ですので、お布施は同じく3万円~10万円が目安とされていますが、気持ちなので数万円程度でも構いません。
離檀料も別途発生するので、お布施は気持ち程度で問題ないでしょう。
浄土宗のお布施
浄土宗は「南無阿弥陀仏」と唱えることで成仏される宗派で、現在は日本だけではなく海外の仏教徒にも多く信仰されています。
離檀料が10万円~20万円と他の宗派に比べると少し安価ですが、閉眼供養のお布施の相場は3万円~10万円ですので、両方納める場合は他の宗派と変わらない金額になります。
真言宗のお布施
真言宗は、空海によって広められた大乗仏教の宗派です。
お墓の特徴は、一般的には「三段墓」のお墓が主流です。
真言宗では、「閉眼供養」は通常通り行われるので、お布施は相場と同じくらいの3万円~10万円くらいが目安です。
別途、離檀料が10万円~30万円くらいかかるので、別途お布施が必要なのか、離檀料に含まれているのかは寺院に確認しましょう。
墓じまいのお布施はいつ渡す?
墓じまいのお布施は、いつどのタイミングでお渡しするのが一般的なのでしょうか。
このような儀式にはマナーがありますので、ここではお布施を渡すタイミングや、渡し方、また新しい納骨先でのお布施についても解説します。
マナーを事前に知っておくことで、スムーズに墓じまいができます。
閉眼供養の前後に渡す
墓じまいで僧侶や寺院にお布施を渡すタイミングは、「閉眼供養」の前に渡すのが一般的です。
祝儀盆などに置いてお渡しするのがマナーではありますが、ない場合は、お布施を袱紗に包んで、渡すときに出すと良いでしょう。
閉眼供養が始まる前に、「本日は宜しくお願いいたします」とご挨拶をして渡します。
万一、始まる前に渡すタイミングがない場合は、終了後に、「本日は有難うございました」と一言添えて渡しましょう。
納骨先でのお布施
墓じまいをする場所でのお布施だけではなく、新しい納骨先でも閉眼供養を行なうので、お布施が必要です。
相場は、少し安価になり、3万円~5万円くらいが目安です。
こちらは、納骨先に行き閉眼供養を行なう前にお渡ししましょう。
尚、民間霊園や公営霊園に移す場合は、閉眼供養がないため、お布施は必要ありません。
永代供養など、他の方の遺骨と一緒にする際も、お布施はいらないことが多いので、納骨先に確認しましょう。
お布施は新札を用意する
お布施は新札を用意しましょう。
葬儀のときは、前もって準備したら失礼にあたるので、古札で香典を包むのがマナーです。
しかし、墓じまいのお布施は、事前にお願いをして感謝を伝えるものですので、新札でお渡しします。
また、肖像画が表になるように、丁寧に包みましょう。
新札は、郵便局や銀行などで手配してくれますので、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
墓じまいお布施でトラブルにならないための注意点
墓じまいでのお布施の相場や包み方、渡し方などをご紹介しましたが、その過程において、お布施でトラブルを起こしてしまうことも少なくありません。
では、トラブルを避けるためには、何が必要なのでしょうか。
注意点やポイントをご紹介しますので、しっかりと確認して円滑な墓じまいをしましょう。
僧侶や寺院に相談する
まず、お布施に関しては、あらかじめ僧侶や寺院に相談しましょう。
墓じまいを行なう場合、事前に寺院や僧侶と日程や内容などの打ち合わせを行ないます。
その際に離檀料やお布施についても必ず相談してください。
ここでコミュニケーションをしっかりと取らないと、離檀料を高額請求されてしまいトラブルになるケースもあります。
また、お布施の金額だけではなく、その用途や目的などを確認しておくことで、誤解が生じるのを防ぐこともできます。
閉眼供養を行なう
墓じまいの予算を少しでも削減したく、寺院での閉眼供養を行なわず墓じまいをしてしまい、トラブルに発展してしまうなんてこともあります。
あとになり、親族や菩提寺から文句を言われてしまうことがあります。
墓石の解体&撤去前には、必ず寺院で閉眼供養を行なうようにしましょう。
墓石には、亡くなった故人の先祖があり、これまで墓参りをしてきた親族の「念」があると言われています。
人によっては、やる必要が無いと考える方もいますが、閉眼供養をしていないと、墓石を撤去してくれない石材店もありますので、注意が必要です。
専門業者に相談する
墓じまいには、多くの手続きやマナーを知っていることが重要になるので、墓じまい専門業者に相談することをおすすめします。
「わたしたちの墓じまい」では、以下のようなサービスを提供しています。
✅永代供養先の提供
✅離檀交渉サポート
✅行政手続きの書類作成サポート
✅遺骨の整理や輸送代行
✅お墓の撤去
そのほか、お布施の相談や地域に根付いたアドバイスなど、全国各地相談にのっております。
墓じまいの専門業者は多数ありますが、選ぶ際には、口コミや実績などを必ず確認し、相見積もりをとってから決めましょう。
まとめ:墓じまいのお布施の相場は3万円~10万円!
“【お布施のしきたり】墓じまいで知っておくべき8選!“の具体的な対応方法や注意点を詳しく紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
お墓の管理や維持は、多くの人々にとって大切な家族や親族、先祖代々の絆を象徴するものです。
しかし、時代の変化やライフスタイルの変遷により、墓じまいを検討する家庭も増えてきている現状があります。
また、墓じまいにはさまざまな手続きやしきたりが存在し、それに伴うお布施の習慣も知っておく必要があります。
お布施の相場は、地域やお墓の広さ、寺院や僧侶との関係性もありますが、3万円~10万円が相場です。
これから墓じまいを考えている方や、将来的にその可能性を視野に入れている方にとって、この記事が役立つ情報源となることを願っています。
また、「わたしたちの墓じまい」では、墓じまいをわかりやすく理解していただくためのyoutubeチャンネルや、墓じまいが誰でもわかる本(「いちばんやさしい墓じまいの本」)なども販売しています。
お布施のしきたりも理解し、円滑で心温まる墓じまいを実現するための参考にしていただければ幸いです。
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